みどりクラウドとはこれまで経験と勘に頼らざるを得なかった農作業を、IT技術でサポートするシステムです。
???これだけ聞いたとしてもよくわかりませんよね
みどりクラウドは、株式会社セラクが提供する農業用ITサービスです。大まかな概要としては、クラウド上に構築されたシステムを中心に、温室やほ場(注)に設置されたセンサーを連動させることで、データをもとにした栽培管理を可能にするというものです。
実際には、温室やほ場(注)にセンサーと通信機能を備えたボックスを設置し、そのボックスからセンサーが収集したデータがクラウドに送られ、蓄積されると同時にシステムによって分析されます。
農家は手もとのパソコンやスマートフォンを使って、グラフなどの見やすい形でそれらのデータをいつでも確認できるのです。
アプリの使い勝手のよさにも定評があり、シンプルでわかりやすいデザインが評価され2017年のグッドデザイン賞を受賞しています。また、スマートフォン以前の携帯電話、いわゆるガラケーにも対応しているため高齢者でも使いこなしやすいでしょう。
みどりクラウドの機能性は?
みどりクラウドのシステム構成は、温室やほ場に設置して環境データを計測する「みどりボックス」と、クラウド上で機能するアプリの「みどりモニタ」、「みどりノート」の3つです。
農家は、手もとに届いたみどりボックスの電源を入れるだけで、クラウドと連動したアプリを利用できます。
みどりモニタ
環境データをリアルタイムに把握できる「みどりモニタ」アプリ
画像提供:株式会社セラク
みどりモニタは、温室やほ場の環境をモニタリングするシステムです。主な機能は以下の3つです。
温室やほ場に設置されたみどりボックスは、温度・湿度・日射量・土壌水分・二酸化炭素濃度・土壌ECなどを2分ごとに計測してクラウド上に送信し、データは数値化・グラフ化されアプリ上でいつでも見ることができます。
またカメラ機能も装備していて、温室内・ほ場内の画像を定点カメラから確認でき、作物の生育状況がチェックできるほか、防犯カメラとしても利用可能です。そのほか気象予報などをデータ表示することもできます。
農家にとっては確認できるだけではなく、実際の栽培管理に役立つところまでわかりやすく示されることがメリットと言えるでしょう。
例えば、積算温度は、その作物の積算基準と比較して収穫時期の予測に利用できます。また、日射量は日々の灌水管理の目安となります。
みどりモニタでは、作業に関わるユーザーがデータを共有しながらチャット形式でのコミュニケーションが可能です。例えば「この区域はもっと液肥の滴定量を増やしてもいいのでは?」などやりとりができるわけです。
みどりノート
みどりノートの画面
画像提供:株式会社セラク
みどりノートは、作業記録と農業資材の管理まで広くサポートします。
農家にとっては入力が簡単なので「作業日誌を継続できる」という点がまずメリットとして挙げられます。
あらかじめ作業計画を立てておくことで、作業現場では数回タップすることで記録することができるようになります。
作業日誌を継続できれば、みどりボックスが計測したデータとあわせて、栽培管理と作物の生育状況の因果関係を考えたり、生産の見通しを立てたりすることができるようになってきます。
また、GAP対応機能があることも、GAP認証を求める流通業者と取引し付加価値を高めたい農家にとっては大きな助けになるでしょう。GAP認証取得に必要な書類の出力ができ、また、取得後の管理もGAP対応が可能です。
こんな実例も!!
みどりクラウドを導入した農家の中で、異常検知機能により大きな損失を未然に防いだ事例があります。この農家では複合環境制御装置による先端的なハウス栽培を行っていました。
そのハウスで冬季の栽培中に、ブレーカーが落ちるというトラブルがありました。そのままでは停電状態で加温がストップし、作物が全滅するところでしたが、みどりクラウドの警報機能によって九死に一生を得ました。みどりクラウドがなければ3千万円の損失を出していたところ、まさに危機一髪で農家を救った事例と言えます。