洋ラン農家の現状
華やかで見栄えのする洋ランは、冠婚葬祭を中心としてさまざまなシーンで使われています。これらの洋ランは、実は、花きの中で販売単価が高い品目でもあります。今回は、収益性の高い栽培品目を探している花き農家のために、洋ラン栽培の現状や課題、成功事例などを紹介します。
贈答用やお祝いの場を華やかに彩る花として人気がある洋ランは、花き類の中でも需要が高く、生産額で菊に次ぐ2位を誇ります。また、栽培に適した環境を整えるためのコストはかかるものの、その分高単価で取引されている点も特徴です。
高い生産額と高い販売単価
農林水産省が2019年12月に発表した「花きの現状について」という調査報告によると、洋ラン(鉢物)の産出額は菊の625億円に次ぐ364億円です。仏花などでニーズの高い菊に比べると、およそ60%程度の生産額しかありませんが、ここでは販売単価に注目してみましょう。
農林水産省「令和2年産花きの作付(収穫)面積及び出荷量」によると、菊の出荷量は13億本であるのに対し、洋ラン(鉢物)は1230万鉢となっています。つまり、洋ラン(鉢物)の出荷量は菊の1%程度にすぎません。
それにもかかわらず、生産額は菊の約60%もあるという事実が、洋ランの販売単価が非常に高いことを示しています。
国内で生産されている主な洋ランの品種
一口に洋ランといっても、その種類は膨大で、それぞれに特徴が異なります。
日本で最もポピュラーな品種として知られているのは、一般的にコチョウランとも呼ばれるファレノプシスです。縁起のいい花言葉(幸福が飛んで来る)や、エレガントな見た目の美しさなどから、開業祝いのギフトなどによく利用されています。
また、シンビジウムやデンドロビウムなども比較的栽培されることの多い品種です。
ファレノプシスに比べて落ち着いた印象を与えるシンビジウムは、寒さに強く花持ちがよいのが特徴です。
一方、デンドロビウムは光沢のある花をたくさん咲かせるうえ、原種が1,000種類以上あるとされるほどバリエーションに富んでいることから消費者に人気があります。
洋ランは販売単価が高く、花きの産出額の中では2位を誇る品目です。栽培期間が長いことによるエネルギーコストについては注意しなければいけませんが、自社で販路を確保すれば流通コストの課題を解決できる場合もあります。