当たり前ですが、何かを生育する際に害虫が発生するのは当然のことです。
カメムシ類はイネ科やマメ科のほか、トマトなどの果菜類も食害する吸汁性の害虫です。トマトに付くと果実を吸汁され商品価値が下がったり、傷口から腐敗したりすることもあり収量に大きく影響します。本日はカメムシ類の被害を防ぐ対策をご紹介します。
トマトの被害症状
カメムシ類は種類が非常に多く、ほとんどが広食性ですが、好んで吸汁する植物はそれぞれ異なります。主に果樹を好む種、水稲などのイネ科や大豆などのマメ科作物に付く種、ナス科やヒルガオ科の植物を好む種などさまざまです。
カメムシ類がトマトに産卵し繁殖するケースもありますが、多くの場合は、周辺の麦類・大豆のほ場や雑草で繁殖し、その場所の成虫密度が高まるとトマトに飛来して食害します。
また、幼虫・成虫ともに、茎や果実を渡り歩きながら次々と食害するので、1匹で多くの葉や実に被害が出ます。
葉や茎への吸汁は、大発生しない限り目立った被害にはなりません。ただし、未熟果を吸汁されると、はじめは食害痕は目立たないものの、果実の肥大に伴って変形したり、黒っぽく変色して腐ったりします。反対に周囲が白っぽく退色して着色が悪くなることもあります。
また、食害痕の内部がスポンジ状になってそこから腐りやすくなるため、商品価値は大きく下がります。大発生した場合は株そのものに生育不良や萎れが見られ、収量の減少につながります。
カメムシの発生しやすい時期・条件
カメムシ類の越冬成虫は周囲の畑や雑草の中で4月頃から発生し、夏期になるとトマトのほ場に飛来します。ハウスよりも露地に発生しやすく、11月まで見られます。ハウスでは9〜10月頃、露地では8〜10月頃に発生が増加します。
種類にもよりますが、温暖な気候を好むカメムシ類が多く、高温乾燥の夏には多発する傾向があります。
トマト栽培において、カメムシ類は少数であればそれほど深刻な被害にならないかもしれません。しかし、夏場に増殖すると株を弱らせたり、果実の商品価値を損なわせたりするので、発見したら放置せず、早めに有効な農薬を散布するなどの防除対策が必要です。
特に大規模なほ場では、気づくのが遅れて大発生しないように日頃から観察し、早期発見・防除対策に努めましょう。