またまたスマート農業なのですが、ドローンを活用した水稲栽培が注目されています。
水稲栽培では、以下の用途でドローンを活用できます。
・直播
・農薬散布
・肥料散布
・モニタリング
・鳥獣対策
農業用ドローンが多数販売されており、用途に合わせた機種を導入して農作業の時間短縮や省力化を実現している農家も見られます。
本日は「直播」「農薬散布」「モニタニング」についてご紹介します。
直播
ドローンを活用した直播では、粒剤散布装置を搭載した農業用ドローンを高度1.5m前後で飛行させて、湛水状態のほ場に水稲の種子を播きます。浮き苗・鳥害の発生を防ぎ、種子の蒔きムラを最小限に抑えるために、鉄コーティング種子を用いるのが一般的です。
土中打ち込み播種機を搭載すればほ場に条を作りながら直播でき、播種精度の向上につながります。水稲の直播では出芽や苗立ちの安定性に課題があるため、播種量を多くするのが収量低下を防ぐポイントです。
ドローンによる直播を取り入れることで、作業時間を短縮できます。実際に、JA新いわての事例では、ドローンを活用した10a当たりの播種時間は0.82時間で、移植栽培での作業時間(4.05時間)と比べて80%の作業時間短縮につながりました。
農薬散布
農薬散布にドローンを活用する農家も増えています。農林水産省によると、2020年度のドローンによる農薬などの散布実績は11万9,500haで、散布面積は年々、拡大傾向にあります。
無人ヘリコプターと比べると飛行時間や農薬の搭載量が少ないのが課題ですが、農業用ドローンは小回りが利くのでほ場周辺に障害物がある場合でも農薬を散布できます。そのため、中山間地をはじめ狭いほ場や形状が複雑なほ場でも、効率的に農薬を散布できるのが特徴です。
ドローンの低空飛行で農薬を散布すると、無人ヘリコプターと遜色ない防除効果を期待できます。
モニタニング
ドローンは水稲の生育状況のモニタリング(ほ場センシング)にも活用されています。
ほ場内でRGBカメラやマルチスペクトルカメラを搭載したドローンを飛行させ、撮影した画像からNDVI値を算出して生育状況や地力を把握します。生育状況や地力をデータ化できるため、栽培ノウハウの継承にも効果的です。
ほ場の画像をAIで解析して、病害虫や雑草の発生箇所を検知する技術も実用化されています
最後に皆様が気になっているドローンの導入コストは・・
農業用ドローンを効果的に活用するには、用途ごとに適した機種選びが重要です。多くの機種が農薬散布に対応していますが、ほ場センシングや鳥獣被害対策に特化した機体も見られます。
農業用ドローンの導入コストは80万~300万円前後が目安といわれており、搭載するオプションなどによっても価格が変化します。ほ場の規模に合った最大積載量・飛行時間の機体を選ぶのがポイントです。
また、ドローンを使用する際は、無人航空機の登録申請と飛行許可・承認申請書の提出が必須です。どちらもオンラインでの申請が可能なので、農薬等の散布やほ場のモニタリングを開始する前に、忘れずに手続きを済ませましょう。